相続財産に関するQ&A

文責:所長 弁護士 田中浩登

最終更新日:2020年12月03日

相続財産に関するQ&A

Q不動産も相続放棄できるのですか?

A

1 相続放棄の法的性質

 相続放棄の効果は,初めから相続人ではなかったことになることです。

 このことからすると,たとえ相続財産の中に不動産が含まれていたとしても,相続放棄をして相続人ではなくなった以上,不動産も相続しないことになります

 相続放棄を行うにあたり,不動産の扱いについては注意が必要です。

 相続財産を処分すると,相続放棄が認めなれなくなるおそれがあります。

 この処分には,売却や廃棄などが含まれるため,相続財産の中に不動産が含まれる場合,売却したり,(建物の場合)取り壊したりしてはいけません。

 また,相続人が複数いる場合は,遺産分割協議も行ってはいけません。

 建物が老朽化していて,倒壊等のおそれがある場合は,取り壊すことはできませんが,建物の汚損を防ぐために掃除をすることや,老朽化している個所を修繕する程度のことであれば,保存行為であるため法定単純承認事由には該当しないと考えられます。

 

2 相続放棄を終えた場合の責任

 すべての相続人が相続放棄を終えると,最後の相続人は相続財産の管理責任を負います。

 管理責任の内容は必ずしも明確ではなく,かつ責任が問われる事態も多くはありませんが,相続財産に含まれる不動産が建物である場合には,放置すると老朽化に伴う倒壊等の可能性があり,何らかの責任が生じてしまうことも考えられます。

 このことへの対応として,相続財産を管理している者が,裁判所に対して相続財産管理人選任の申立てという手続を行うことができます。

 相続財産管理人選任申立てがなされると,裁判所は法律の専門家の中から相続財産管理人を選任します。

 そして,相続財産管理人は,不動産を含む相続財産の処分を行います。

 被相続人に負債があり,貸金業者等の債権者がいた場合には,相続財産を換価した金銭を配当します。

 買い手が付かないなどの理由で換価できなかった不動産は国庫に帰属されるという手続がなされます。

 これにより,相続放棄をした相続人は,完全に相続財産との関連性を断つことができます。

 なお,相続財産管理人は,被相続人の債権者による申立ても可能です。

 被相続人に負債があり,かつ価値のある不動産を有していた場合には,債権者側から相続財産管理人選任申立てがなされることがあります。

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